スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category : スポンサー広告 |

第3話 はじめまして

赤ちゃんを産む分娩室へ案内されたのは、陣痛室に入ってから3時間後のことだった。
自力では歩けず、看護婦さん二人に抱えられての移動だけど。

陣痛室では出てこようとする赤ちゃんを必死に抑えてた。
でも分娩室では、ようやく思いっきり産める!!

そう思うとかなり気が楽になった。
もっとも身体の方の辛さはピークを越えていたが。

ここからは、さすがに自称弟のコウちゃんも立ち入り禁止。
私一人の戦いだ!
って、なんで一人なんだ、統矢さんは来てくれないの!?
立ち会ってくれないの!?

統矢さんのバカ!!!
バカバカバカ!!!!

私がこんなに辛い思いして統矢さんの子供を産もうとしてるのに、
他の女といちゃついてる場合じゃねーぞ!!!!

くそー!!

思考回路がおかしくなりながらも、怒りに任せてイキむ。

「ユウさん!呼吸して、呼吸!息とめちゃダメですよ!!」

ムリー!!!
好きに産ませてー!!!

その時・・・

オギャアアアアアアア!!!

「ほえ?」
「赤ちゃん出てきましたよー!おめでとうございます!立派な男の子です!」

あれ?
もう出てきたの?

あれほど痛かったお腹と腰から一瞬にして痛みが消えた。
気分の問題ではなく、本当に消えたのだ。
今まで苦しんでたのが嘘みたい。
すぐにでも歩けそうだ。

そんなことを考えながらも、目は赤ちゃんを探す。
どこだ??
ん?
お医者さんが持っている、そのエイリアンみたいな奴か?

「臍の緒、切りますねー」

臍の緒?どれ?

するとお医者さんがエイリアンのお腹の辺りから出ている異常に太くて青いグロテスクな紐を切る。
それが臍の緒?
臍の緒ってもっと細くて、肌色か透明だと思ってたけど・・・なんか・・・カエルの卵みたいだぞ。

目の前の状況に頭がついていかず、
お医者さんにあっちこっち連れて行かれるエイリアンを必死に目で追った。

エイリアンはゲホゲホ言いながら、羊水を機械で吸い取られている。
・・・生きているようだ。生き物なんだ。

「カンガルー抱っこしましょうね」

と、看護婦さんに病院着を脱がされる。
そして私の裸の上半身にエイリアンが上陸した。

「・・・・・・」

おう。なんだこれは?
なんだ、このシワクチャで頭がやたら大きくて赤くて、でも身体は青白い、生き物は?
なんだ、このお世辞にもかわいいと言えない猿のような生き物は?
なんだ、この全然かわいくないのに・・・愛おしい生き物は?

赤ちゃん?

うつ伏せに私の胸に置かれたソレは、必死に首を持ち上げて何かを探しているようだ。

「すごいでしょ?赤ちゃんって、産まれた瞬間からオッパイ探すんですよ。
ほら、ママのオッパイ吸いましょうねー」

そういってお医者さんがソレの口を私の乳首にあてがう。

・・・吸った?くすぐったいぞ・・・

それから私のエイリアンは、身体を拭くからと言って別室に連れて行かれた。
私は、何かを点滴してもらった。


点滴をしながらウトウトと3時間が経った。
ようやく分娩室を出て、入院する個室へ向かう。
いつもの(?)VIPルームだ。

廊下を進むと、ガラス張りの壁に庄治とコウちゃんが張り付いていた。

「あ!ネェちゃん!!!」

コウちゃんが目をウルウルさせて飛びついてきた。
おお、このパターンはやばいぞ、と思う間もなく、熱烈なキスをされた。
なんか、夫婦みたいだ。

「おつかれさま!おめでとう、ネェちゃん!!すげーかわいい!!!」

かわいい?
あのエイリアンが?

コウちゃんに手を引かれ、ガラス張りの壁を覗き込む。
中には産まれたばかりの赤ちゃんがずらりと並んでいた。
庄治が嬉しそうに指をさす。

「ユウ、おつかれ。ほら、あれ。左から3番目」

そこには青い服に青い帽子のちっちゃなちっちゃな赤ちゃんがベッドに寝かされていた。

「あれ・・・私が産んだ赤ちゃん?」
「うん。ほら、ベッドの頭んとこに『廣野ベビー』って書いてあるだろ?」

本当だ。
廣野ベビー。
っぷ。なんだそれ。

ガラス越しに「廣野ベビー」を3人で飽きることなく眺める。

・・・かわいい

心からそう思った。

はじめまして。
私の赤ちゃん。
私があなたのママだよ。



↓ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります!
★ここをクリックしてください★

目次     前話<  >次話 




COMMENT : 0
TrackBack : 0
Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List

Copyright © タロウの書き散らし小説 All Rights reserved.
Designed by サリイ  Illustration by ふわふわ。り  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。