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第2話 衝撃

高校生に知り合いなんていたかな?

身長は175もないくらい。
170近くある私と、あまり大差ない。
なかなか可愛らしい顔をしている。

記憶をたどるが、思い当たらない。

もちろん、高校生にナンパされないとも限らない。
自慢ではないけど、私は結構よくナンパされる。

でも、この高校生はナンパするために私の後をつけていた訳ではなさそうだ。
なぜなら。
その瞳はお世辞にも好意的とは言いかねた。
はっきり言うと、憎しみを湛えていた。

だけどここで食ってかかるのはあまりにも大人気ない。
なんと言っても相手は高校生だ。

私はできるだけ優しく話しかけた。

「君、誰?私に何か用かな?」

でも、その高校生は態度を変えることなく、
私を睨みつけたまま言った。

「俺は廣野組のモンだ」

ドキッとした。
それと同時に、この子が誰なのか、そしてどうして私をこんなにも睨みつけるのかがわかった。


私は一ヶ月前まで、ヤクザの組長の廣野統矢の愛人だった。
組長と言っても統矢は若い。まだ29歳だ。

統矢は組のことはあまり話してくれなかったけど、
組にいる高校生のことだけは、たまに話してくれた。

その口ぶりから、統矢がその子のことをまるで弟のようにかわいがっているのが伺えた。

そして、その子も統矢を兄のように慕っていて、
また、統矢の奥さんのことも姉のように慕っているようだった。

確か・・・統矢はその子のことを「コータ」と呼んでいた。

「コータ」からすれば、私は決して気持ちのいい存在ではなかったはずだ。


私は目の前の高校生を見つめた。
おそらく、この子がその「コータ」なのだろう。

「何?統矢ならもう、奥さんに返したでしょ?あなたに睨まれる筋合いはないわ」
「返した?ネェちゃんが出て行ってから返してもらっても意味ねーよ!」
「・・・え?」

出て行った?
誰が?

「ネェちゃんて・・・統矢の奥さんのこと?ユウさん?出て行ったの?」
「そうだよ」
「いつ?」
「去年のクリスマスの朝に子供と出て行ったよ!」

コータは吐き捨てるように言った。
統矢と私が別れたのも、去年のクリスマスだ。
イブの夜からずっと一緒にいて、クリスマスの夜に別れた。

「統矢はユウさんがクリスマスに出て行くって知ってたの?」
「前の日に聞いてるはずだ」

コータは、なんでそんなこと聞くんだ、というような表情をしている。

だって・・・
じゃあ、統矢は奥さんが出て行くと知っていたのに、私と別れたの?
それって、奥さんがいるとかいないとか関係なく、私とは続けるつもりはなかったの?
私には、恋愛感情は本当に全くなかったの・・・?

呆然とする私をみて、コータも全てを悟ったのか、

「あんたもかわいそーな奴だな」

と皮肉るように言って去っていった。
私は雨が降っているのも忘れ、しばらくその場に立ち尽くした。



―――寒い!
家に帰ってきて、ようやく自分が寒いことに気がついた。
とりあえず、お風呂に入ろう。
風邪をひいてしまう。

コータの話はショックだったけど、
とりあえず今はお風呂だ。

熱いシャワーを浴びて、温かいコーヒーを飲むと、少し気分が落ち着いてきた。

統矢・・・
統矢は奥さんをとても愛していた。
私はそれを承知で彼とつきあっていた。
統矢が私に恋愛感情などないことは、初めからわかっていた。

だけど、こうやってその事実を目の当たりにさせられると、やっぱりショックだ。

統矢と別れた後、私はこの世の終わりかと思うほど泣いた。
でも、一ヶ月たって、ようやく立ち直ってきたのに・・・

ドレッサーの上においてある、ジュエリーケースを開けた。
中にはどれも決して安くない、アクセサリーがたくさん入っている。
その中でもひときわ輝くダイヤのネックレスを取り出した。

クリスマスに、統矢からもらった最後のプレゼントだ。
でも、嬉しくなかった。
本当に欲しかったのはこんなものではなかった。
私は統矢に1万円もしない、おもちゃみたいな指輪をねだったのだ。
最後にどうしても統矢から指輪をもらいたかった。

でも統矢は「指輪なんてユウにもあげたことがない」と言って買ってくれなかった。

その代わりに、このネックレスを買ってくれた。
一体いくらするのかも分からない。
少なくとも私のお給料では一生かかっても買えないだろう。
私の実家は代々続く資産家で、お金なら有り余るほどある。
だけどそんな家のお爺ちゃんでもお父さんでも、簡単に買えるものではない。

それを統矢はまるで子供にお菓子を買うように、ポンと買ってくれた。
あんなにねだった指輪は絶対に買ってくれなかったのに・・・。

やっぱり私はユウさんにはかなわない、そう思った。
それなのに・・・どうしてユウさんは出て行ったんだろう。

私はようやく、ユウさんと子供のことに考えが至った。

確かユウさんはまだ二十歳だ。
小さな子供と二人でこれからどうするつもりなんだろう。

ううん、心配は要らない。
統矢と結婚するくらいの人だ。
きっと私みたいに実家はお金持ちで、生活には困らないだろう。

でも、気になる。
どうして廣野家から出て行ったのか?これからどうするのか?

どうやったら分かるだろう・・・


そうだ。
あの子。
あのコータという子なら、何か知ってるに違いない。

そう思うと居ても立ってもいられなくなった。
明日、あのコータに会いに行ってみよう。

私はベッドに倒れこんだ。
そして・・・
久しぶりに昔の夢を見た。



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Category : [SECOND LOVE] | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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