スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category : スポンサー広告 |

第1話 雨の日

ルルルルルル

無意識のうちに手がベッドから出て、携帯のアラームを止める。
そして、無意識のうちにベッドから出て、洗面所に向かう。

顔を洗ってさっぱりしたところで、ようやく気がついた。

・・・今日、有給だった・・・

はあ。
でも、もう顔も洗って目が覚めてしまった。
もう一度寝る気にはなれない。

どうしよう、まだ7時前だ。

そういえば、今日は大切なプレゼンの日だ。
今日のプレゼンのリーダーは私の同期の小山という男性社員で、私はサブメンバー。
プレゼン自体には参加しない。
だから、今日は久々に有給を取ったのに・・・
アラームを消し忘れるなんて。

でも、小山君、大丈夫かな?
うちの会社は化粧品メーカーで、少数精鋭型なので特別仕事ができない人、というのはいない。
だけどやっぱり、優劣はあるもので・・・

一抹の不安がよぎる。

やっぱり午前中だけでも出社して、プレゼンの場に居合わせよう。

そう決めて、いつも通り出社の準備をする。

白いカッターシャツにカーキのジャケット。
スカートは濃いグレーのタイトなものにした。
ちょっと地味かな?
でもプレゼンだし、軽い格好ではいけない。

化粧もバッチリ決める。
昔から化粧は好きだったけど、社会人になってからは
ますます気合を入れるようになった。
そう、あの人のために・・・

ブンブンと首を振る。
今はそんなことを考えている場合じゃない。

髪を巻いて、ストッキングを履き玄関に向かう。

朝ごはんは途中のコンビニでゼリーでも買おう。



「・・・ですから、アンケートの結果、H社の類似製品に比べまして弊社の製品はターゲットにしている、
30代から40代の女性に指示されていることが分かります」
「そのアンケートはどのようにして行われたのですか?信憑性はありますか?」
「このアンケートは・・・ええっと・・・」

彼の目が泳ぐ。
・・・仕方ない。
私はその場で口を開く。

「ただいまお見せいたしましたアンケートは、インターネットのHP上で行いました。
ですから、お客様も遠慮なくご意見を書かれていると思います。
また、HPを見るためには無料ではありますが会員になる必要があります。
会員になる方法は弊社のなんらかの商品を購入した方にのみご連絡してありますので、
冷やかしなどはないと思っていただいて結構です」

質問者は「なるほど」と納得してくれたようだ。
小山君は私をちらっと見てバツの悪そうな顔をした。

きてよかった・・・これくらい、自分で調べといてよね。


「間宮さん!ありがとうー!さっきは助かったよー」
「どういたしまして。仕事、取れるといいわね」
「うん・・・あ、お礼したいからさ、お昼一緒にどう?ご馳走するよ」

小山君のお誘いは丁重にお断りして、会社をでる。
プレゼンさえ終われば、今日はもう会社に用はない。


さあ、今から何をしよう・・・

以前なら、あいた時間は必ずと言っていいほど彼に会っていた。
彼もできるだけ私に会えるよう、仕事を調整してくれた。

その彼と別れて1ヶ月。
あと1週間もすればもう2月だ。


ポツポツと足元に雨粒が落ちる。

「あれ・・・?天気予報では晴れだったのに・・・」

傘は持っていない。
仕方なく、雨宿りがてら駅までの道の途中にあるデパートに入る。

明るい店内に煌びやかなアクセサリーが並ぶ。
でも欲しいものは何もない。

ブラブラと20分ほど時間を潰したけど雨は上がる気配が無い。
それどころか強くなる一方だ。
ここで傘を買っていこうかな?

そう思って、館内案内を見たけど、婦人用の傘売り場は7階だった。
そこまで行くのも面倒臭い。

私は諦めて、駅まで走ることにした。


デパートを出て5分くらい経った頃だろうか、
私は後ろをつけてくる足音に気がついた。

初めは私の勘違いかとも思ったけど、
平日の昼間で、人通りも少ない。

私が歩調を速めれば、その足音も早くなるし、
遅くすると、その足音も遅くなる。

・・・ナンパかな?
だったら早く声をかけてほしい。
そうすれば「結構です」とバッサリ断れるのに。

いつもだったら、声をかけてくるまで放っておくか、
完全に無視をして駅まで急ぐかのどちらかだけど、
今日の私は虫の居所があまりよくなかった。

せっかくの休みなのに、出社してしまったし、
雨だし、傘もないし、
・・・なんだか彼のことも思い出してしまったし。

それで、思わず足を止めてしまった。
足を止めて振り向いてしまった。

「ついてこないでください!」
そう言おうと口を開けたけど、そこにいた予想外の人物に言葉が出てこなかった。

知っている顔ではない。
でも、その男の格好に驚いた。

「男」というのもおかしいかもしれない。
グレーのブレザーを着ていたから。

そこにいたのは間違いなく高校生だった。




 目次      >次話


COMMENT : 0
TrackBack : 0
Category : [SECOND LOVE] | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List

Copyright © タロウの書き散らし小説 All Rights reserved.
Designed by サリイ  Illustration by ふわふわ。り  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。