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第21話 お引越し

「おい、ユウ!お前、何持ってるんだ!」
「え?炊飯器ですけど」
「そんな重いもの持つな!貸せ!お腹の子になんかあったらどうするんだ!?」
「・・・空ですよ?これ・・・」

「ユウ!酒なんか運ぶな!」
「ビール一本ですが・・・」

「ユウ!雑巾掛けなんかするな!」
「おとなしく寝てろ!」
「ファーストフードなんか食うな!」


等々・・・
あー、うるさいー・・・

「いいじゃないか、みんな心配してくれてるんだ」

統矢さんは笑いをかみ殺しながらフォローする。

「でも、こんな、箸より重いものは持つな!みたいな生活、耐えられません!」


そう、組長の告別式の翌日から、私はすっかり「コワレモノ注意」扱いだ。
確かに、妊婦は色々と気をつけるべきことはある。
でも、別に病人じゃないんだし、お医者さんからも安静にしろとも言われていない。
こんな箱入り生活、逆に身体に悪いぞ!!!

首を振りながら台所へ。
ここなら何か手伝わせてくれるだろう。

「あー!『奥様』がきた!」
「由美さん、それやめてください」
「あはははは!まさか本当に『奥様』になるとはねー!」
「ねえ、籍はいつ入れるん?」
「・・・さあ?」
「さあって・・・」

正直、統矢さんに「結婚しよう」と言われたことでいっぱい、いっぱいで、籍の事なんか考えてなかった。

「それにしても、アノ統矢さんが結婚とはなあー・・・」
「ほんとですね。アノ統矢さんが・・・あ、もう『組長』って呼ばないとダメか」
「ちょっと待ってください、なんですか?『アノ』って」

宏美さんと由美さんが顔を見合わせる。
お藤さんと美月さんも仕事の手を止めて、一瞬顔を上げる。

・・・おお、物凄く嫌な予感。

「聞きたい?」
「聞きたくないけど、聞きたいような・・・」
「もう時効ちゃう?ユウも分かってるやろう。まあ、簡単に言うと統矢さんは女と続かない、ってことやよ」
「・・・」
「彼女できても3ヶ月もつかどうかですよねー?でも、彼女いるとこもあんまりみないけど」
「『彼女なんて面倒くさい』って言ってるからね。遊びたくなったら適当な女見つけて寝て、の繰り返し」

私の感ってよくあたるなー

「大輔から聞いたけど、そもそも統矢さんて大学生になるまで女と付き合ったことないんだって」
「ええ!?それは意外・・・」

遊びまくってたかと思った。

「そりゃ、こんなところで生活してたら、まともに女と付き合う気はなくなりますよねー」
「そうそう。プロの女と遊ぶ方が面白いって子供のころから分かってたみたい」
「・・・プロの女?デリヘルみたいな・・・?」
「ちゃうちゃう、そんな安っぽいのんじゃないよ。高級クラブのホステスとか」
「高級クラブのホステスなんてお持ち帰りしていいんですか?」
「個人的に約束取り付けて外で会うのは勝手やろ」

うわー!子供の頃からそんなことしてたのかー!?
子供の頃っていつだ!?
小学生とか!?

「いや、さすがに小学生はないやろ。中学生くらいちゃう?」

どっちもたいしてかわりませーん!

要は、あれか!?寝たくなったら適当な女呼び出して寝てバイバイってやつか!?
そんなこと中学生からしてたんか!?今も!?

「い、今はないんちゃう・・・?」
「うわー!そこ!!自信もって否定してください!!!」

お藤さんも宏美さんも由美さんも、美月さんでさえ、私から気まずそーに、目をそらす。
おーい!!!!

でもそういえば、前、統矢さんが同じようなこと言ってたな。
そして、コウちゃんが今まさに、「昔の統矢さん」状態な訳だ!
あああ!ネェちゃんは悲しいぞ!!!


憤まんやるかたない思いで、自分の部屋へ戻ろうとすると、大輔に呼び止められた。

「ユウ。ちょっときて」
「イヤ」
「・・・なんでだよ」

さすがにここで大輔に八つ当たりするのもかわいそうなので、おとなしくついていく。

「ご機嫌斜めだな、若奥様」
「斜めどころの騒ぎじゃないよ、直角90度って感じ」
「ははは、どうした?」
「統矢さんが女と遊びまくってた、って聞いた。今もそうかも」
「そんなの、前々からわかってるだろ?」
「わかってるけど・・・」
「それに、今はないよ」
「・・・本当?」
「うん、いい加減飽きたって言ってた」

飽きたから私なんかい。

「じゃあ今はつまみ食い期間か」
「つまみ食い?」
「高級フレンチにも飽きたなー、たまにはタコ焼きでも食うかー、って期間」
「タコ焼きかぁ。ユウ、大きく出たな。まともな食い物とは」
「・・・どういう意味?」

大輔に連れられてきたのは、2階の会議室、のようなところ。

「失礼します」

中には統矢さんはじめ、幹部がずらーっと並んでいた。

「ユウ、座れ」
「はい」

なんだ!?尋問か!?もしや、私に組長暗殺容疑でもかけられてるのか!?第一発見者だもんな!
だけど、話はもちろんそんなことじゃなかった。

「ユウ。今、これから組をどうしていくか話し合ってたんだけどな」

へえ。

「取り合えず、引越しだ。俺が親父の部屋に入るから、お前も今の女中部屋を出て、俺と同じ部屋に住め。
あと、もう女中の仕事はしなくていい」
「えー・・・」
「おう。なんだ、どこにどう文句のつけようがある?」
「統矢さんと同じ部屋って・・・統矢さんの顔見たくない時はどうしたらいいんですか?
ちなみに今まさにそんな気分です」
「・・・」

大輔が笑いを堪える。

「それに女中をやめたら、私ここで何をしたらいいんですか?」
「お前には別の仕事がある。ここにいる幹部連中の奥様会みたいなののリーダーだ」
「パス」
「パスってなんだ、おい」
「そんなの私に務まるわけないじゃないですか!誰かに譲ります!」
「いいのか?」
「はい!無理です!」

キッパリ言い放つ。ここは胸を張って言えるぞ!!!

「じゃ、川島。お前の奥さんに任せる」
「はい!ありがとうございます。家内も喜びます!」

おお、奥様会リーダーってそんな名誉なことなのか。
てか、統矢さん、切り替え早すぎ。さては、どうせ私には務まるまいと思ってたな。
くそう。

「だけどな、ユウ。一応お前は女では廣野組のトップだ。たまには奥様会にも顔だせよ」
「はい・・・って、ええ!?」

なんだ、トップって!!!
わたしなんかどこの馬の骨かもわからん女だぞ!自分で言うんだから間違いないぞ!!


結局、部屋の件は聞き入れられず、私は統矢さんと同室になってしまった。
でも女中の仕事は続けさせてもらうことになった。
だって、女中の仕事って普通の家では奥さんがやるようなことだ。

それに、女中のお給料がなくなるのは痛い。
統矢さんは、組のお金は私のお金でもあるから自由に使っていいって言うけど、
そんなの無理にきまってるでしょー!?
私が好き勝手に使えるお金がほしい。

だから、女中して、お給料も貰って、でも夜は統矢さんと一緒の部屋で過ごして・・・
って、あれ?今までと何かかわるのか?

「あの。私もう部屋に戻っていいですか?」
「ああ、いいぞ」

私は自分の部屋に戻り、ベッドにひっくり返る。
眠い・・・妊婦ってなんでこんなに眠いのか・・・ただの私の怠慢か?
それにしても、これから組長の部屋で統矢さんと暮らすのかあ。
なんだか感慨深い、てゆーか、組長が化けてでそうだぞ・・・


「おい」
「・・・あれ?統矢さん?」

いつの間にか眠ってしまってたらしい。

「会議終わったんですか?」
「ああ」
「お疲れさまです」
「お前、『部屋に戻っていいですか』ってこっちの部屋かよ。
こっそり俺の部屋に戻ってちょっとは俺を喜ばせよう、とか思わないのか?」
「・・・私が統矢さんの部屋にいたら喜んでくれるんですか?」
「うーん、裸ならな」

じゃあ、今度試してみよう。服は着ておくけど。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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