スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category : スポンサー広告 |

第20話 約束

組長から言い渡された二つの仕事。

一つは、大輔と寝ろ、ということ。
もう一つは、廣野組の跡取りを産め、ということ。

なんと矛盾した命令か。


「俺の子でもいいんだがな」

組長はニヤッと笑って言った。

「まあ、後々のことを考えると、俺の子より統矢の子の方が揉めないだろう」

組長、曰く。
私が組長の子を産むとなると、どうやっても跡取り問題で揉めることになると言う。

パターン1、組長がすぐに亡くなった場合。
次の組長は統矢さんだけど、その次は誰が継ぐのか?
私が産んだ組長の子か?それともいずれ誰かが産む統矢さんの子か?

パターン2、組長が100歳くらいまで長生きした場合。
そのとき統矢さんは既に70歳近い。一方私が産んだ子は40歳くらい。
この場合は組長の次をどちらが継ぐのか?


「だからもう、俺は子供を作らない方がいい。ユウには統矢の子を産んで欲しい」
「そんなに跡取りの顔がみたいんですか?」
「そうだな。俺も歳だし・・・統矢ももう28だ。跡取りというか、そろそろ孫の顔が見たい」
「でも・・・私なんかが廣野組の跡取りを産んでいいんですか?それに統矢さんがなんて言うか・・・」
「統矢には秘密だ」
「え?」

さすがに私も面食らった。
統矢さんに内緒で統矢さんの子を妊娠しろというのか。

「俺の女を譲ってやるんだ。タダとはいかん。少しくらい悪さをせんと気が済まん」

組長は悪戯っ子のような顔をした。

「私が妊娠して、統矢さんが嫌がったらどうするんですか?」
「あいつが何故、自分の子をユウが妊娠して嫌がるんだ?絶対に喜ぶから心配するな」

いや、そこ、物凄く心配です。
でも、組長が「大丈夫」って言うと、本当に大丈夫な気がしてくるから不思議だ。

「わかったな、薬ももうやめろ」
「・・・わかりました。でも、すぐ妊娠できるかわかりませんよ?それに男の子を産める保証もないし」
「女でもいいさ。ユウはまだ若い。何人でも遠慮なく産め」

どういう遠慮ですか。
野球チームでも作るつもりですか。

そんな話の後、組長に「ユウを抱くのは今夜が最後だ」と言われた。
それはそうだろう。
これからは組長が避妊するとしても、私が妊娠した場合、
組長の子か?統矢さんの子か?と、周囲から疑いの目を向けられることは避けられない。
統矢さん自身も、自分の子だと信じきれないかもしれない。
組長との関係はバッサリ終わらせておいたほうが無難だ。

だから、最後だと言われても、納得できたし、そうすべきだと思った。
それでも、朝、隣に組長がいないことに気づくと涙が出た。
私って、自分で思ってたより組長のことが好きだったのかもしれない・・・。


それから私の「勝手に妊娠計画」が実行された。
学生時代に居眠りしまくっていた保健体育の授業を復習する勢いで妊娠のメカニズムについて調べた。

・・・おお、避妊せずやれば簡単に妊娠すると思ってたけど、大間違いのようだ。
1ヶ月の間で妊娠できるのは5日ほどしかない。その間にしたからと言って必ずできるものでもない。
デキ婚って、実は結構すごいことだぞ。

更に産み分けについても勉強した。
組長は男でも女でもいいと言っていたけど、やっぱり一人は男が必要だろう。
男の子を産むには・・・
母親は肉を食べたらいい、みたいな迷信じみたものとか、
排卵日当日の性交がいい、という科学的なものとか、
性交時、母親が気持ち良くなった方がいい、というリアルなものとか・・・

実は統矢さんに内緒で色々実践してみた。

そのかいあってか、5月から生理が来なくなった。
セルフチェックの結果を見る時のドキドキといったら!
まだ19歳で未婚で・・・と言えば、普通は「デキてませんように!」と祈るところだけど、
使命感に燃えた私は「どうかデキてますように!」という思いで1分間、結果を待った。

結果は・・・陽性!!

すぐに組長のところへ飛んで行き、安藤先生のいる病院の産婦人科を受診した。

「おめでとうございます。5週目ですね。予定日は・・・来年の2月20日です」

この結果を聞いた時の組長の顔・・・統矢さんに見せてあげたかった。
廣野組組長の顔はどこへやら、すっかり「おじいちゃんの顔」になっていた。
組長は私のお腹を愛おしそうにさすりながら言った。

「どんな子が産まれてくるかな?まだ統矢には秘密だぞ。
統矢には『俺の子をユウが妊娠した』と言って驚かせて落ち込ませた後に本当のことを言ってやろう」
「うわ・・・面白そうですね、それ」
「そうだろ?いつにするかな・・・安定期に入ったくらいに実行するか」
「そうですね!楽しみだあ」
「ははは」

4週間後の検診でも、順調に成長している、ということで胸をなでおろした。

「性別はいつわかるんだ?」
「早いと5ヶ月くらいで分かるみたいですけど・・・7ヶ月くらいみたいですね」
「名前も考えんとな」
「組長がつけてくださいね」
「統矢とユウで考えないのか?」
「組長につけてほしいです。統矢さんの子ではありますけど、組長のおかげでできた子ですから」
「・・・そうか」

そして数日間かけて組長が考えてくれた名前が、男の子なら「蓮(れん)」と女の子なら「桃」だった。

「廣野蓮、廣野桃。かわいいですね」
「そうだろ。統矢の名前を考えた時より真剣に考えた」

真顔で頷く組長。
まんざら嘘でもないようだ・・・


でも。
結局、組長はこの子を見ることなく逝ってしまった。
早過ぎますよ、と思った。

組長・・・私、約束通り、ちゃんと産んで育てて見せます。
だから、遠くから見守っていてくださいね。




↓ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります!
★ここをクリックしてください★

目次     前話<  >次話 




COMMENT : 0
TrackBack : 0
Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List

Copyright © タロウの書き散らし小説 All Rights reserved.
Designed by サリイ  Illustration by ふわふわ。り  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。