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第14話 運転免許

それから数ヶ月。
穏やかな日々が続いた。
・・・私にとっては。

「統矢さん!!」
「いやだ」
「今日、日曜日ですよ!!」
「いやだ」
「会社休みですよね!!」
「いやだ」

朝ごはんの後、部屋へ戻ろうとする統矢さんを私はすかさず捕まえた。

「何やってるんだ?あのバカップル」
「あ。大輔さん、おはよーございます」
「おう、コータ。なんだ、あれ。朝っぱらから」
「さあ?」

嫌がる統矢さんを私は食堂に引き戻す。

「食料の買出し!!行きましょう!!」
「いやだ」
「なんでですか!?」
「おい、大輔。代わりについていけ」
「いいですけど・・・」
「まあ大輔でもいいか」
「いいか、って・・・お前な。なんでそんなに買い物行きたいんだよ?」
「ジャンジャジャーン!!!!!」

印籠よろしく、私が取り出したのは・・・

「運転免許証!?」
「そう!!やっと取れたんだぁー!!!!」

大輔とコウちゃんは顔を見合わせると、本当に食堂から逃げ出してしまった。

「と、ゆーわけで統矢さん、付き合ってくださいね」
「お前は廣野の血を絶やす気か」
「死にゃしないでしょ。まあ、怪我くらいはするかもしれませんが」
「・・・」

こうして私は買い物用のでっかいワンボックスの助手席に統矢さんを押し込め、
いざ出発!!と、エンジンをかけた。

「えーっと、こっちがアクセルで、こっちがブレーキで。あれ?このボタンはなんだっけ?」
「・・・ハザードだ」
「そうそう、ハザード、ハザード・・・ハザードってなんでしたっけ?」

統矢さんは盛大にため息をついた。
とにかく!キーを回してアクセルを踏めば車は動き出す!なんとかなるさ!!

「って、あれ?動かない?」
「サイドブレーキひきっぱなし」
「あ。そうそう。これこれ・・・」

何はともあれ、無事(?)車は動き出した。
ウィンカーを出す代わりにワイパーを動かすのはご愛嬌だ。

「・・・全く、うちの女中連中は・・・」
「え?みんな運転ダメですか?前に宏美さんの運転する車に乗ったけど普通でしたよ?」
「おい、カーブ大きく回りすぎ。あいつが一番まともなんだ。でも上手いとは言いかねる。
お藤の車に乗ってみろ。軽く10年は寿命が縮むぞ。何回スピード違反で捕まったことか」
「よく免停になりませんね」
「毎回もみ消してる」
「・・・」
「キープレフト!教習所で習ったろ。美月は別の意味でダメ。絶対制限速度でしか走らない。
高速なんて制限速度を遥かに下回る60キロをキープ」
「うわ。逆に迷惑ですね、それ」
「うん、後続車に謝りたくなる」
「由美さんは?」
「今度は左寄り過ぎ。電柱にミラーぶつけるぞ。あいつは、親父が教習所に通うのを許可しなかった」
「あー・・・」

まあ、私も組長にほとんど泣き落としでせまって、教習所に行かせてもらったんだけどネ。

統矢さんにどやされながらも、なんとか大型スーパーにたどり着いた。

「スーパーの野菜売り場にヤクザ。変なの」
「・・・お前がついて来いって言ったんだろ」
「まあ、統矢さんはヤクザってゆーよりサラリーマンだから違和感ないですね」
「うるさい」

サラリーマンの統矢さんと日曜日に食材の買出し。
なんかちょっと新婚さんみたいで嬉しいぞ。
でもカートの中身を見れば、明らかに「新婚さんではない」とわかる。
だって、あのお屋敷に住む50人ほどの食事の材料だ。その量は半端ではない。

「肉って何キロくらい買うんだ?」
「今日は5キロですね」
「カートに入るか?」
「もう一つ持ってきてくれますか?」
「ああ」

色気も何もあったもんじゃない。
でも、あの誕生日以来、夜は必ず統矢さんの部屋で過ごすようになった。
統矢さんも、もう組長に遠慮することもなく堂々と私を部屋に招き入れる。
統矢さんが残業とかで遅い時も、私は統矢さんの部屋で待っている、というか先に寝てるんだけど。

あと、一緒にいる時間が増えたから当然かもしれないけど、会話がものすごく増えた。
前は本当に、するだけして寝る、って感じだったけど、今はベッドの外でも中でも、
いろんなことを話すようになった。
生理中じゃなくても、寝転がってその日にあったこととかを話して、
気づいたら二人とも寝てる・・・なんてこともしばしば。

本当に、恋人同士みたいだ・・・って恋人同士なのか。でも、よくわからない。
だって、二人でデート、とかはしたことがない。
平日は統矢さんは仕事で、私は毎日女中の仕事があって、でも夜は一緒で・・・
となると、別にどこかに行こうか、なんて風にはならない。

実は、私に「もう女中の仕事をさせるのはやめようか」と幹部の間で話が出たことがあるらしい。
「組長の女」だったときでも、「さすがに結婚はないだろう」とみんな思っていたので、
あくまで私はただの「女」だった。
でも今は「統矢さんの女」というだけでなく、二人の年齢を考えても「もしかしたら、もしかするかも」
ということで、私は「次期組長の正妻候補」でもあるようだ。
そうなると、女中扱いはちょっと・・・というわけだ。
でも、統矢さんの「そんなこと、どーでもいー」と言う発言であっさりその話は消えたらしい。

確かに女中の仕事をしないとなれば、私はお屋敷ですることがなくなるから、
今のままの方がいいけど・・・「そんなこと」とは何だ、しかも「どーでもいー」って・・・

一人、解決しがたい矛盾に苦しんでいると、統矢さんがカートと一緒に何かを手に戻ってきた。

「このプリン、うまそう。帰ったら部屋で食おうぜ」
「はい!」

ま、どーでもいーっか。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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