スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category : スポンサー広告 |

第6話 ホテルへ行こう

数日後。

マサさんが運転する車に、統矢さんと私、そしてお付きの大輔が乗り込み、向かうは六本木。
そう、あの大バカ者に会いに行くのだ。
ちなみに今は木曜日の午後7時。
「話があるから、会いに行く」と和彦に電話したら、
ピンポイントで今日のこの時間しか空いてないという。
統矢さんは「俺、会社の飲み会があるんだけど・・・」と文句を言いながらも了承してくれた。


「ここか?」
「・・・みたいですね」
「芸能人ってそんなに儲かるのか?」
「さあ・・・」

見上げてると首が痛くなるような高層マンションを前に4人で呆然とする。
ここの結構上層階に和彦は住んでいるようだ。

マサさんを車に残し、3人で和彦の部屋に向かう。

ピンポーン

「・・・」
「・・・」
「・・・」

まあ、予想はしていたが、いらっしゃらないようだ。
このやろう。

「さすがだな」
「・・・すみません」
「どうします?」
「少し待つか」

高級マンションの廊下でボケッとする、会社員と悪っぽい兄ちゃんとよくわからない女。
怪しいこと、怪しいこと。

見た目もバラバラなら、頭の中も全くバラバラのことを考えている。
統矢さんは『さて、なんと言ってあの男を引き下がらせるか・・・』
大輔は『もしまたアイツが統矢さんを殴ってきたら・・・』
そして、私は組長の言われた「仕事」について・・・

「うーん、どう言おうかな・・・」

ですよねー

「明日の、課長報告・・・」

おい。


そのとき、エレベーターの扉が開いた。

「あれ?結子、なんでいるの?」

奴が偶然(怒)帰ってきた幸運に感謝したい。




「・・・というわけだから、もううちには来るな」
「ヤだ。結子が帰ってきてくれるまで通う」
「通うな」
「通う」

バカ広いリビングでかれこれ30分ほど統矢さんと和彦のこんなやり取りが続いている。
いい加減飽きてきた。
リビングのドアの前に立つ大輔もぼんやりと、棚においてあるガラス工芸品を見つめている。

「だから。ユウはただの女中じゃない。組長の女だ。誰がなんと言おうと組からは出せない」

統矢さんはどうやら、自分と私の関係は取り合えずさておき、
私のことを「組長の女」として説得することに徹している。
・・・その方がやりやすいんだろうし・・・わかってるんだけど・・・ちょっと悲しいゾ。

何度目かの統矢さんのそのセリフの後、和彦がようやく私の方を見た。

「結子は?」
「え?」
「結子はこのままヤクザの組長のお嫁さんになるの?それでいいの?」

そうストレートに聞かれても困る。
こっちにはこっちの複雑な事情が色々と・・・
と、言いたかったが、統矢さんの「話合わせとけ!!」という鋭い視線に思いとどまる。

「う、うん。アタシ、くみちょうとけっこんしたいなー・・・なんて」

見事なまでの棒読みだが、仮にも役者をやっている和彦に通じるのか。

「・・・そうなんだ・・・」

和彦がガックリと肩を落とす。
通じるんかい。

和彦は目をウルウルさせながら言った。

「結子・・・俺があそこに通って、帰って来い、って言い続けたら、迷惑・・・?」
「迷惑!!!!!」

間髪入れない私の返事に、統矢さんも大輔も「さすがに可哀相だろ」と非難の目を向ける。
お、なんだよ、話合わせたのに。
本音だけどさ。

「わかったよ・・・」

今にも泣き出しそうな和彦。
さすがにちょっと酷かったか。

「和彦・・・いや、あの、連絡くらいは取るようにするからさ・・・」

そう言った瞬間、和彦の顔がパアアアと明るくなった。

「ほんと!?絶対だよ!月に一回くらいは会ってね!!!」
「うっ・・・」

さっきの「ウルウル」は演技か!?
やっぱ役者なのか!?

私はなんだかよくわからないうちに、和彦との月1回の面会を条件に、
廣野組での滞在を許可された(?)。

帰りは役者・和彦がマンションのエントランスまで送ってくれた。

「じゃあね、結子。あんなところで無理しちゃダメだよ」
「うん」
「お父さんとお母さんには、俺のとこに居るって連絡しとくよ」
「・・・うん」
「あと・・・辛いことがあったら、いつでも俺のとこきていいから」

そう言って、和彦は統矢さんの方をチラッと見た。
・・・なんだ、バカのくせに、統矢さんと私の関係もわかってるのか・・・。

「うん・・・ありがと、和彦」

こうしてなんとか無事に私たちは和彦のマンションを後にした。
が、入れ違いに超ナイスバディな美女がマンションに飛び込んできて、
和彦に抱きついてキスするのを見て、統矢さんと大輔が「いいなぁ」と呟いたのだった。
悪かったな、Bカップで。



統矢さんは律儀にも「ちょっとだけ顔出してくる」と
そのままマサさんに送ってもらい、会社の飲み会とやらへ行ってしまった。

私は大輔と二人、夜の街を駅に向かってブラブラと歩いた。
・・・今日は組長との約束の日だ。

「ねえ、大輔」
「うん?」
「ホテルいかない?」

大輔がビックリしたような顔で私を見た。



↓ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります!
★ここをクリックしてください★

目次     前話<  >次話


COMMENT : 0
TrackBack : 0
Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List

Copyright © タロウの書き散らし小説 All Rights reserved.
Designed by サリイ  Illustration by ふわふわ。り  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。