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《美月》 新しい人生 5

「どうしたんだ、山本。なんで俺んちの中にいた?」
「・・・」
「お前が廊下を走って飛び出して行ったから、俺びっくりして」
「・・・」

なんて説明したらいいんだろう?

廣野君の家に閉じ込められてたんだよ。
そしたら女の人が助けてくれたんだけど、その人は撃たれちゃったんだよ。

私が唇をかみ締めていると、
廣野君が歩み寄ってきて私の手を取った。

「このアザ、何?足も。縛られてたのか?」
「・・・」
「・・・俺んちの中で?」

はっと顔を上げた。
目の前に廣野君の顔があった。
でもその表情は学校で見せるそれとは全く違ってた。

眼が物凄く怒ってた。
ヤクザの顔だった。

私が相変わらず何も言わないでいると、
廣野君はそのまま私の手を引いて、私の家の玄関へ向かった。

「取り合えず、一度お前んちに行こう」
「うん・・・」

鍵を持ってなかったから、チャイムを鳴らしてみる。
でも、返事がない。

ドアを押してみると、開いた。

「あれ?昼間でも鍵を掛けないなんてことないのに・・・」
「おい、何か覚えてないのか?」
「・・・夜中に家の中で何かが壊れる音がして・・・部屋を出たところで誰かに殴られたみたい」
「そのとき、おじさんとおばさんは?」
「え?」

そういえば・・・
私が誰かに殴られた、ってことは、その誰かが家の中に居たということだ。
じゃあ、お父さんとお母さんは!?

慌てて家に飛び込もうとする私を廣野君は押し戻した。

「お前は待ってろ」

有無を言わせぬ口調だった。
仕方なく私は玄関で待つことにした。

廣野君は靴のまま家へ上がり、
キョロキョロと見回すと居間の方へ入っていった・・・
かと思うと、すぐに出てきた。

「・・・どうしたの?」
「二人とも殺されてる」

廣野君はさらっと言った。

え?
なんて?
誰が何って?

私はその場に崩れ落ちた。





「起きたか?」

あれ、また?
でも今度の声には聞き覚えがある。

「廣野君・・・」
「眠れたか?」
「うん。ここは・・・」

そうだ。
今度はちゃんと覚えてる。
ここは都内の一流ホテルだ。

あの後、廣野君は放心状態の私を励ましながら、
居間を見せないようにして必要最低限の荷物をまとめさせた。

そしてタクシーを拾うとホテルに直行した。
受付で廣野君が名前を言うと、すぐにこのスイートルームに案内された。
それから廣野君はずっと電話してた。
私はベッドに座ってボケッとしてたんだけど、どうやら眠ってしまったらしい。


聞きたいことが色々あったけど、何故か一番最初に浮かんだのは、
私を助けてくれた女性のことだった。

「家の中を親父に調べてもらったら、お袋が背中を撃たれて死んでるのが見つかった」

そうだ、あの女性は廣野君のお母さんだ!!
なんで気づかなかったんだろう。

廣野君の顔を見た。
でも別になんてことはない、って表情をしていた。

「親父も俺も、どこかの組がうちを潰そうとしてるって思ってたんだ。でも違った。
うちの一部の人間が親父や俺を殺して組を乗っ取ろうとしてたんだ」

廣野君は淡々と語る。

「甘かった・・・裏切られてるのに気づかないなんて」

そう言って、初めて苦々しい表情になった。


私を見張っていた、あの男。
どこかで見たことがあると思ったら、門番の男じゃないか。
昨日の学校帰りに廣野君と私が話しているのを、門番をしながら見てたんだ。
それで、彼女だと勘違いして私を人質にしようとした。
廣野家の中に監禁するなんて大胆だけど、灯台元暗しで意外と見つかりにくかったんだろう。

現に、廣野君のお母さんが偶然見つけてくれなかったら私は今でも閉じ込められていたかもしれない。

なんてこと・・・
私のせいで廣野君のお母さんが死んでしまった。

「もしかして、自分のせいで、とか思ってる?」
「・・・うん。ごめんなさい」
「馬鹿じゃねーの!お前の両親はうちの奴らに殺されたんだぞ!?」

ビクッと身体が震えた。
本当なの?
本当に、お父さんもお母さんも死んだの?
廣野組の人に殺されたの?

廣野君は私に二人の死体を見せなかった。
だから実感がわかないけど、廣野君がそういうんだから本当なんだろう。

「くそっ!」

なんで、なんで怒るのよ。
自分のお母さんが殺されても怒らないくせに。

ようやく涙が出てきた。
そして一度そうなると、もう止められなかった。

こんなに泣いたら身体の中の水分がなくなっちゃうんじゃないかな?

そう思えるくらい泣いて泣いて泣きまくった。
最後には、なんで自分が泣いているのか分からなくなってくるくらい泣いた。

その間、廣野君は辛抱強く待ってくれた。
微動だにせず、何も言わず、ただ待っていた。

そしてようやく私が落ち着きを取り戻したときに、

「ごめんな」

と呟いた。

それを聞いて私はまた泣き出した。


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