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第32話 忘年会で泥酔

やってきました、廣野組大忘年会。

いやー、女中のみんな、顔ひきつってますよ。
でも、一番ひきつってるのは私だろう。

クリスマス以来、組長は暇さえあれば朝晩関係なく私を呼んだ。
朝ごはんの準備と片付けは連日キャンセル、コウちゃんも冬休みに入りお弁当はいらない。
というわけで、夜から翌日の午前中いっぱい軽く軟禁されてる日もあった。
お陰で寝不足と体力不足の日々。

そこに、この死ぬほど忙しい忘年会ときたもんだから、
顔の一つや二つ、ひきつらせてくれ。

実際、さっきから、ニワトリが化けて出てきそうなくらい鶏のカラアゲを作ってる。
組長の大好物だから仕方ないけど、組長の前にはあんまり置いておかないでおこう。
身体が心配だ。

宏美さんと由美さんは、会場となる大広間の準備、
美月さんは私と一緒に料理、
お藤さんはたくましくも酒の調達に走り回っている。

ただいま、午後6時。
作戦決行まで後1時間であります!

チラッと横においてある卵の山を見る。
始まる直前に熱々の卵焼きを作ろうと思ってたのに・・・
明太子入りの卵焼き。
統矢さんの大好物だ。

振られてまでこうやって統矢さんのために料理する私、なんてけなげなんだ、と自画自賛。

でも、当の統矢さんは会社の忘年会があるとかで、今日はいつから参加できるかわからない。
ほっとしたような、ちょっと残念なような。

そうこうしているうちに、忘年会開始時刻となった。


参加者はこのお屋敷の住人と、組の幹部、あわせて約100名。
廣野組の組員はこの何倍もいる。
でもこのお屋敷での忘年会に参加できるのはほんの一握りだ。

それ以外の人はどうしてるかと言うと、
廣野組は関東の各所に支部のようなものを持っていて、
その支部ごとに忘年会やら新年会やらをするらしい。

組長と統矢さんが分担してそれに顔を出す。
・・・ヤクザの親分も楽じゃない。

今日は勝手知ったる我が家での忘年会、ということで組長はだいぶリラックスした表情だ。



組長が短く挨拶をして、忘年会が始まった。
いや〜、これだけヤクザが集まると、なかなか壮観な眺めだ。

そして次々とみんなに挨拶され、酒を注がれる組長。
やっぱすごい人なんだな・・・
こんな人に抱かれてるなんて、実はすごいことなんじゃないだろうか。

私たち女中は会が始まってもしばらく慌しく走り回っていたが、
小一時間もしたところでようやく腰を落ち着けることができた。

もうみんな、だいぶ酔っ払ってる。

さて、私はどうしよう。

宏美さんと由美さんは、見知らぬ人の中でも平気に飛び込み、ガンガン飲んでる。
お藤さんは、廣野組のあれこれを知りたがる若い衆に大人気だ。
しかも、そいつらが一目置くくらい酒に強い。
美月さんは、乾杯の後、さっさと自室へ戻ってしまった。
まあ、確かに美月さんが好んで参加する会でもないだろう。

でも、私も実はちょっと苦手だったりする。
気心知れた仲間とワイワイ飲むのは大好きだけど、
さすがに100人もの男ども(しかもヤクザ)相手に楽しくは飲めない。
かといって、美月さんのように割り切って不参加、というのもつまらない。

誰か私と一緒に飲んでよー、と思い辺りを見回す。

さすがに組長はダメだろう。
ここで組長の隣に座るくらいの度胸があれば、私も立派な「組長の女」かもしれないけど。
コウちゃんは・・・おお、高校生のくせして結構いけるな、でも酔った勢いでまたキスされかねないから、却下。
マサさんと庄治は問題外。

となると・・・
一瞬躊躇したけど、ここはやっぱり・・・

「大輔ー。一緒に飲んでよ」
「おー。いいけどせっかくの機会なんだから、知らない奴らとも親睦深めろよ」
「私、ヤクザって苦手なの」
「おお、その冗談面白いな」

いや、マジっす。

うんうん、大輔とだと本当に心おきなく飲める。
今日ばかりは統矢さんのことも忘れて、思いっきり楽しもう。

ところが。
宏美さんと由美さんに負けず劣らずガンガン飲んだのはいいけど、
さすがにここ最近の無理が祟ったのか、すぐにギブアップしてしまった。

「・・・もう、ダメ」
「大丈夫か?」
「いや、もう無理。部屋に戻る・・・」
「つれていこうか?」
「1人で平気。おやすみ、大輔」

フラフラになりながら部屋へ向かう。
そのとき、ふと思った。

気持ちいいベッドで思い切り手足を伸ばして爆睡したい!

シラフだったら絶対しないけど、私は1人勝手に組長の部屋へ向かった。
組長が部屋に戻った時に私がベッドで寝てても怒らないだろう。
むしろ喜ぶかもしれない。
そもそも組長も朝まで部屋に戻れないかもしれないし。

勝手に納得して、なんとか階段を上り組長の部屋にたどり着いた。


ガチッ!


・・・鍵がかかってる。
当然と言えば当然か。
酔っ払いがこんなにたくさん入り乱れる忘年会の日に、組長の部屋なんてVIPルームを施錠しない訳がない。
どこかのバカがフラフラと組長の部屋に入るかしれない。

自分がその「どこかのバカ」であることは取り合えず棚に上げ、
私は仕方なく自分の部屋へ戻ろうとした。

ところが、そこで体力の限界がきて、私はヘナヘナと座りこんだ。
ちょっとここで休んでいこう・・・
そう思って目を閉じ、ウトウトした。

「ユウ?こんなところで何潰れてるんだ」

あ、とーやさん、おかえりなさーい・・・

「おい、大丈夫か?」

統矢さんが私を抱きかかえる。

「お前、意外と重いな」
「統矢さん・・・」
「ん?」
「・・・吐く・・・」
「おい!!!ふざけんな!!!」

統矢さんは慌てて私をトイレに連れて行った。

ひとしきり吐くとだいぶ意識がはっきりしてきたが、
今度こそ本当に一歩も歩けなくなり、トイレに寝そべりそうになった。

「お前・・・酒癖悪すぎ。なんて世話が焼けるんだ」

統矢さんは愚痴りながらも再び私を抱きかかえ、階段を下りようとした。
が。
何を思ったのか立ち止まり、くるりと方向転換して歩き出した。

なんですか?
また方向音痴発揮ですか?

だけど統矢さんは迷うことなく(当たり前だ・・・)自分の部屋へ入り、
私をベッドの上に置いた。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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