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第24話 苦痛

まさに地獄のような時間だった。

いっそのこと殺してくれ、じゃなきゃせめて気絶させてくれ、
と本気で思った。

でも、私はギリギリのところで意識を失うことはできず、拷問のようだった。


その間も、頭の一部は冷静で、

今日も組長に呼ばれてるのにもう間に合わないな、すっぽかしたこと無かったのに、とか
コウちゃんがこんなこと知ったらショックだろうな、とか

そして、

統矢さんはどう思うかな、
俺には関係ないとか言われたらさすがにちょっとショックだな、

とか・・・

そんなことを考えていた。



ようやく開放された時、このまま死んじゃうんじゃないかと思ったけど、
人間って結構図太くできてるらしい。

私はフラフラになりながらも、表通りにでた。

たぶん、ひどい格好をしてたんだろう。
道行く人がみんな私の方を振り返る。
でも、そんなこと気にもならない。

えっと、私どこに行くんだっけ?
そうそう、お屋敷に帰らなきゃ。
組長が待ってる。
でも、お屋敷はどっちだっけ?
私どこに向かって歩いてるんだろう。

気の向くまま、足を進める。

すると、遠くの方で「ユウ!!」と言う声がして、
目を凝らすと、統矢さんが走ってくるのが見えた。

その瞬間、私はようやく気を失うことができた。




白い天井と四角い照明が目に入ってきた。

ここは・・・知ってる。
安藤先生の病院だ。
どうして私がここにいるのか、思い出すまでもなく冷や汗が出てきた。
でも、そのとき、聞きなれた声がした。

「気がついたかい?」

目だけ動かすと、ベッドの横にお藤さんがいた。

「お藤さん・・・」
「もう大丈夫だよ」

まるで仕事中のようにいつも通り声をかけてくれる。
それがかえって安心できた。

安心すると同時に涙があふれてくる。

「うっ、ううー・・・お藤さん・・・私・・・」
「うんうん。わかってる、わかってるよ。怖かったね」

お藤さんが優しく頭をなでてくれる。

泣けば泣くほど苦しくなって、また涙が出てきて。
その繰り返しでいつまでも泣いていた。


そして、ようやく落ち着いた時、お藤さんがお医者さんを呼んでくれた。
入ってきたのは優しそうな女医さんと看護婦さんの二人。

「おはよう」

何事も無かったように、女医さんはニッコリと微笑んでくれる。

「外傷は全部手当てしたけど、どこか痛いところない?」
「・・・たぶん、無い、です」
「内臓は?胃とか」
「大丈夫です」
「そう。よかった。大丈夫よ、何にも心配ないから」

自信に満ちたその表情と声で私は心底ほっとした。
ピルを飲んでたお陰で妊娠の心配もない。
こんなところで役に立つなんて皮肉なものだ。

私は丸2日寝込んでたらしい。
その間、女中のみんなが交代で看病してくれてた。
でも、目が覚めた時にいてくれたのがお藤さんでよかった。
何故かそう思った。

「あの・・・組長は?」

女医さん達が出て行った後、お藤さんにたずねた。

「別に何も変わらない、いつも通り、」

やっぱり・・・ね。

「と、組の連中は思ってる」
「え?」
「私は組長を生まれた時から知ってるんだ。どんなに平静を取り繕っててもわかる。
物凄く怒ってるよ」
「・・・」
「統矢さんもだ」
「・・・」

そっか。
気にしてくれてたんだ、二人とも。
こんな状態で言うのも何なんだけど、ちょっと嬉しかった。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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