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第17話 平和な夜

「ふらわーあれんじめんとぉ?」
「統矢さん、平仮名じゃないです、カタカナです」
「アホか、フラワーアレンジメントくらい知ってる。お前の口から出てくると、
全く別物に聞こえるから平仮名で言ってみた」

何の話かというと・・・

「組長がフラワーアレンジメントの講習会受けて来いって言うんです」
「ユウに?」
「いえ、女中の誰かに。でも、お藤さんだと生け花になりそうだし、
宏美さんは面倒くさいって言うし、
美月さんはお屋敷からあまり出たくないって言うし、
由美さんは・・・本人は行く気満々だったんですけど、私たちが止めました」
「っぷ。あいつ、覚えられなさそうだもんな」

廣野家の中には意外なことにあちこちに花が飾ってある。
もちろん、ほとんど業者が活けるのだが、
「ちょっとした花瓶の花なんかは、掃除の時に女中がパパッと整えれるといいな」
という組長の鶴の一声で、このような運びとなった。

「それにしても、組長がお花にそんなに関心があるなんて、すごく意外です」
「親父が、じゃねーよ。お袋が好きだったんだ。お袋が生きてたときは、家中の花は、
全部お袋が活けてた」
「へえ・・・すごい」
「そういう意味じゃ、ユウがやるのはちょうどいいのかもしれない」

不器用なことにかけては右に出る者はいないと自負する私ですが。



本日生理5日目。
いよいよ、私の清らかな生活も幕を閉じようとしている・・・
明日あたりから、また組長に呼ばれるだろう。

それにしても、と、隣を見る。
統矢さん・・・。
この5日間、毎夜私のところへ来ている。
そして、何もしない。
ただ少し話して、一緒に眠るだけ。

実は、信じてもらえないだろうから統矢さんにも、誰にも言ってないのだが、
組長と共に過ごす夜の内、半分くらいは何もないのだ。
ただ、抱きしめられて寝るだけ。
言うなれば、抱き枕?
組長は何故か私が一緒にいると、睡眠薬なしでも眠れるらしい。

だから、この生理中ももしかしたら組長に呼ばれるかな、と思ってたけど、
どうやら仕事(?)が忙しいようで、このところあまりお屋敷にいない。
そういう訳で私はこうして自分の部屋で自分の時間を過ごせる・・・はずだった。

統矢さんはなんでいるんだ?
ただ話し相手が欲しいだけなのか。
それなら大輔やコウちゃんでじゅうぶんじゃないか。

でもこの5日間で、少し統矢さんのことが分かった気がする。
今までは、軽口を叩きあうか、言葉も無く抱かれるか、のどちらかだったけど、
初めてのんびりと会話らしい会話をした。

子供の頃から大学生までずっと空手をやってた、とか
お母さんの着物でヒーローごっこをやって家から追い出された、とか
18歳になった頃から禁煙している(なんか間違ってないか、それ)、とか
20歳の時背中に刺青(ちなみに鷹の模様)を入れたけど痛くて死ぬかと思った、とか
会社に仲のいい友達がいて、その人にだけは家がヤクザってことも話してて、
仕事でも女の数でも争ってた(いや、これは現在進行形か)、とか

どもれくだらない話ではあるが、統矢さんの人間らしい一面が垣間見れた。

一方私も、自分のことを少し話したが、
こっちはもっとくだらないのでここでは省略!




ジリリリリ!!!

うわ!やばい!

私は慌てて目覚ましを止める。5時半。
統矢さんは・・・よし、起きてない。
星の王子様よろしく、スヤスヤと熟睡している。

それにしても・・・
マジマジと統矢さんの顔を見つめる。

統矢さんは亡くなったお母さん似なのか、普段あまり組長と似ていると思ったことはない。
でも、気の抜けた時の顔や寝顔は本当によく似ている。
長いまつげの瞼を軽く閉じ、口を少しあけて子供のように眠る。
更にうつぶせになって寝るのも一緒。
統矢さん曰く、
「刺青入れた時、背中が痛くてうつ伏せに寝て以来、癖になった」
らしい。
ということは、組長がうつ伏せで寝るのも同じ理由か。
それじゃあ背中に刺青がある人はみんなうつ伏せか。

ヤクザが揃ってうつ伏せで寝る様を想像して1人で噴出してしまった。
組長と統矢さんの寝相が一緒なんて知ってるのは私くらいだろう。
そう思うとなんだかちょっと嬉しかった。

そんな私に気づくことなく無防備な寝顔をさらす統矢さん。
私が女暗殺者だったらどうするんだ。
・・・なんか・・・イタズラしたくなってきた・・・
マジックで瞼に目玉でも書くか?
あまりに子供じみてるかな?
でもこういうイタズラは思いっきり童心に帰らなくては!!



私はコウちゃんのお弁当を作るから、朝は誰より早く台所に行く。
だから台所は無人・・・のはずが、思わぬ人影が。

「大輔?」
「おお、早いなユウ。おはよ」

大輔は勝手口で靴を履いているところだ。
お前も「廣野組」改め「勝手口使用組」か。
廣野組なら堂々と玄関を使え!

「おはよ、こんな早く何してるの?」
「ちょっと人と会う約束があってさ」

ヤクザには人に会うにも「常識的な時間」というのは存在しないらしい・・・

「ユウ。昨日も統矢さんきたのか?」
「うん。きたけど・・・」
「やってないのか?」
「なんでわかるの!?」
「お前、やった後は『やりました〜疲れました〜』って顔してるからすぐ分かる」
「!!!!!」

うおおお、穴、どこかに穴はないか!?もぐらしてくれ!!!!

1人悶絶していたら、悶絶の原因が台所に入ってきた。

「ユウ・・・喉渇いた、水くれ。お、大輔、でかけるのか?」
「おはようございます。ちょっと出てきますって・・・ぷっ、統矢さん、なんの冗談すか、それ?」
「は?」
「額に『肉』って書いてますよ」
「!!ユウ!!貴様!!!」
「「あはははは!!!!」」
「殺す!!!」

その後、朝の廣野家の大広間で統矢さんと私の追いかけっこが繰り広げられた。

「女」に関する賭けは、組長が断然有利になったことは言うまでもない・・・



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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