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第7話 それぞれの事情

「あはははは!!!!」
「ちょっと、コウちゃん・・・笑いすぎ」
「だって!どこの小学生だよ!?」
「・・・」
「僕、どうしたの?そんなふくれっ面して。お腹すいたの?お兄ちゃんがお菓子買ってあげようか?」
「・・・もうお弁当作ってやんない」

他の誰に増しても、コウちゃんにこの髪型は大うけだった。
放っておいて欲しい。好きでこうなったんじゃないやい。
自業自得ではあるが。


まさに、「お腹がすいてふくれっ面の小学生」の顔つきで台所の流しへ向かった。
そこには相変わらず無言で米を研ぐ美月さんの姿が。
なんとなく「米研ぎ」は美月さんの担当になっていた。
その腕前たるや、プロ級だ(どんなプロだと言うつっこみはさておき)。

「・・・ユウさん、もしかして、その髪・・・」
「へ?」

あれ?今、誰がしゃべった?
今台所には私と美月さんしかいないはず・・・

「・・・統矢さんに日本刀で切られたの?」

どうやら美月さんの声らしい。
うお!美月さんから話掛けられるなんて!皆既日食並みに珍しい!!!

「えっと。え?どうしてわかったんですか?」
「・・・私も統矢さんに切られたことあるから・・・」
「・・・・・・・」

あまりの驚きに声もでなかった。
美月さんが統矢さんに髪を切られたことがある!?
ってことは、私みたいに統矢さんを激怒させたことがあるのか、この美月さんが?

眼を白黒させる私を残し、仕事を終えた美月さんが台所から出て行った。

皆既日食どころではない。ハルマゲドンだ。
ちなみに今日の夕食はカラアゲ丼だ。



困ったときの大輔様、とばかりに私は賄賂の焼酎片手に3階の大輔の部屋へ向かった。
ノックするとすぐに扉が開いた。

「ユウ君。良い子はもう寝んねの時間だよ」
「うん、でも僕寝れないんだ」
「そうかそうか、じゃあおじちゃんが眠らせてあげよう」

なんか変な意味に聞こえるんですが。


「え?美月さん?」

焼酎を飲み交わしながら、さりげなく美月さんについての調査を開始する。
って、全然さりげなくねー。

「そう。いつからどうして廣野組の女中やってるか知ってる?」
「知らん」
「そっか。じゃあもう用はない。おやすみ」

私が焼酎を没収して部屋を立ち去ろうとすると、大輔が慌てて引きとめた。
焼酎を。

「ま、まあ待て。俺がここに住むようになったのは高校卒業してからなんだよ。ちょうど今のユウくらい」
「へえ」
「そのとき既に美月さんはいたから、いつなんでここに来たのかは知らない」
「ふうん」
「俺が来た時は美月さんは19歳だな。2歳違いだから」
「ほう」
「・・・お前、聞いてるか?」
「一応」

役にたたなーい!

「そういえば、統矢さんから、美月さんとは同級生だったって聞いたことがあるなあ」
「同級生?ただの同級生?」
「ただの、ってなんだよ。あ、もしかして恋人同士だったとか思ってる?」
「そうじゃないけど・・・」

いや、実はもしかしたらそんな面白いことがあるかもとは思ってた。

「昔はどうだったか知らないけど、今はないぞ。
美月さんであれ誰であれ彼女がいるんだったら、
いくら統矢さんでも、こんなにやたらめったら女と寝ないぞ」

やたらめったら寝てるんかい。
だめだ、大輔からはこれ以上なにも引き出させなさそうだ。

「ところで、大輔はなんで廣野組に入ったの?」
「俺は入るべくして入ったんだよ」
「は?」

言うや否や大輔がいきなりシャツを脱いだ。
おいおい、お兄さん、飲みすぎじゃないっすか?

「ほら、見てみ」
「あ・・・!」

大輔の背中。
そこには見事な虎の刺青が施されていた。

「すごい・・・初めて本物の刺青なんてみた・・・」

本物も偽物も何も、刺青なんてドラマの中の遠山の金さん以外みたことない。

「これ、俺の親父が彫ったんだ」
「ええ!?」
「うち、この近くで彫り師やってるんだよ。最大の顧客はもちろん廣野組の連中。
だからガキの頃からここのことよく知っててさ。いっつも統矢さんに付きまとってた」
「そんな子供のころから『お付き』やってたんだ」
「ははは、そういうことになるな」

廣野組の人はほとんどが大輔の家で刺青を入れている、
そして廣野家の人間(組長とか統矢さんね)は
二十歳になったら必ず入れることになっている、

らしい。

「組長の刺青は俺の爺ちゃんが入れたんだ。統矢さんのは親父」
「へー、代々やってるんだね」
「そう。組長が結婚した時も親父が奥さんに入れた」
「え。女の人も?」
「廣野家の人間は男も女も必ず入れるんだよ。家は俺の兄貴が継ぐことになってるから、
いつか統矢さんが結婚したら奥さんも子供も兄貴が彫るんだろうな」

ほえええ

美月さんの謎は解けなかったけど、面白い話が聞けたなあ。


「そうだ、ユウ。前から言おうと思ってたんだけど」
「なに?」
「お前、18歳だろ。未成年が酒なんか飲んじゃいかん」

どの口がそれを言うんですか。


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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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