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第3話 廣野家の住人達

「料理できんのか?」
「カップラーメンぐらいですねぇ」
「掃除は?」
「耳掃除くらいなら」
「・・・特技は?」
「どこでも寝れること。含む、ヤクザのお屋敷」
「はい、不合格ー。残念でした、さようなら」
「お言葉ですが、私、組長にここで働いていいって言われたんです。統矢さんになんと言われても出て行きません」


会話している間も統矢さんは無遠慮に私を値踏みする。
どうせ、「ちびだなー」「胸ないなー、色気ないなー」とか思ってるんだろう。
148センチ、40キロ、髪は黒いセミロング、ちなみにBカップ。
いいじゃないか、奥ゆかしい体型じゃないか、何か文句でも?

「まあいい。今日の俺は機嫌がいいから、気が変わらないうちに持ち場に戻れ」
「ご機嫌なんですか?」
「ユウ、お前、明日から何が始まるか知ってるか?」
「?」
「バカ、明日からゴールデンウィークだろ!これが喜ばずにいられるか。プレゼンで仕事も取れたし、面倒な部長報告も終わったし・・・明日から自由だー」

この人本当にヤクザの跡取り息子ですか?


「ただいま戻りましたー」
「あ、おかえり。どうだった?統矢さんへの挨拶」
「モーマンタイ」
「あはは、じゃあお皿洗いよろしく」
「はい!」

台所に戻ると先輩女中の由美さんが明るく声を掛けてくれた。

由美さんは22歳。人生に悩んだことありますか?と聞きたくなるくらい、お気楽ご気楽キャラで底抜けに明るくアホ。
しかし!かわいい!!透き通るような白い肌に小さな顔、大きな瞳、愛らしい口元、くわえてナイスバディ!!こんなところでくすぶってる場合じゃないぞ。

こんなにかわいい由美さんが、ヤクザのお屋敷にいるなんて・・・ライオンの檻にうさぎを放り込むようなものだが、今まで貞操の危機はなかったんだろうか?

「ないない。このお屋敷内でヤるのは厳禁!あと、組関係者以外連れ込みも禁止。家族や恋人もダメ」
「あ、でも組長と統矢さんは例外やよ。あの人達はここが正真正銘の家やから」

関西弁のちゃきちゃきのアネゴ・宏美さんが明日の朝食の下準備をしながら会話に加わる。
年齢不詳だが、私の見立てによると35歳。

「へー」
「たまに組長の部屋からネグリジェ一枚の女がフラッと出てきたり、喘ぎ声が聞こえて来るするで」
「・・・へー・・・」

お子ちゃまなユウには想像を絶する光景であります。

ところで女と言えば。

「組長って奥さんいらっしゃらないんですか?」
「ああ、10年くらい前に亡くなってん。私が廣野組にくる少し前やったみたい」
「それでネグリジェの女、ですか」
「あ、それはあんまり関係ない。所詮ヤクザやからねー。金・酒・女には締まりがない」
「あはは!宏美さん、それ身も蓋もなさすぎ!」

相変わらず底抜けに明るい声で由美さんが笑う。

「あんたら、おしゃべりばっかりしてずに、手を動かしな」

流しの方から鋭い声が飛んでくる。
御歳65歳、廣野組の生き字引・お藤さんだ。

「はーい」

宏美さんと由美さんがハモる。

「ユウ、あんたはこっちに来な」
「は、はい!」

慌ててお藤さんのところへ駆け寄る。

「朝は6時から朝食の準備、9時から片付け。昼食はなし。午後は5時まで掃除、5時からは夕食の準備、9時から片付けと朝食の下準備。覚えたかい?」
「・・・後でタイムスケジュール作っときます」
「そうしな。休みは月4日、順番に取る。給料は毎月私が現金で渡すけど今月だけは先に渡しておいてやるよ。色々生活品を買わなきゃいけないだろ」
「あ、ありがとうございます!」

そうなのだ、統矢さん達、私をお持ち帰りするなら荷物も一緒にお持ち帰って欲しかったのだが、
居酒屋に放置してきたらしい・・・。
お陰でお金も服も何も無い。

早速明日、時間をみて買い物だ!


その他もろもろ、お藤さんから説明を受けていると、台所の隅にある勝手口がバンッ!と開いた。

「~ただいまぁ・・・」

ドサッ!

男が倒れこむように入ってきた。
いや、正確には「男の子」だ。
灰色の上下の服は間違いなく高校の制服のブレザーだから。

「おかえり、コータ」

コータと呼ばれた男の子が顔を上げる。
おう、かわいいじゃないか。
黒髪のセンター分けに優しげな瞳。
だけど、その表情は今にも死にそうな程疲れきっていた。

「は、腹へった・・・」


夕ご飯の残りを出してやると、3日間は食べてませんでしたというような勢いで、
猛烈にかぶりつく。

あっと言う間にどんぶり飯2杯目。
ようやく落ち着いたのか、私の顔を見て、あれ?とつぶやく。

「新入りさん?」
「あ、はい。ユウといいます」
「本城幸太(ほんじょうこうた)です」

おお、フルネーム。
ここにきて、組長と統矢さん以外で始めて苗字がある人を発見。
いや、みんなあるにはあるんだろうが。

それにしても「コウタ」か・・・。

「ねえ、幸太君」
「なに?」
「コウちゃん、って呼んでいい?」
「はあ!?やだよ、恥ずかしい!なんで?」
「昔、うちでコウタって犬飼ってたの。コウちゃんって呼んでかわいがってたんだ~」
「・・・絶対ヤだ」

宏美さんと由美さんが噴出す。

だって、この「コウちゃん」もなんだか子犬みたいでかわいいから。
こうして私の中で勝手にこの子は「コウちゃん」に決定した。


そういえば。
この空間に、もう1人、無言で米研ぎをする女性が存在している。
美月さん、27歳。黒のロングヘアーの電波系(古い)。
ほとんどしゃべらないが、みなさん、その存在をお忘れなく・・・。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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