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第1話 人生初のお持ち帰られ

気持ち悪いー・・・


私はテーブルに突っ伏した。
煙草とお酒の臭いが鼻につく。
ここは・・・そうだ。居酒屋だ。

今にも意識を飛ばしそうになっていると、頭の上から声が降ってきた。

「おい、大丈夫か、こいつ」

低くって渋くっていい声じゃないの。
あんたは「男A」と命名しよう。

「いやー、今まで飲みながら話してたのにいきなりぶっ倒れちゃって」

別の声が答える。
「男B」だな。

「どうします?このまま連れて帰って楽しませてもらいますかぁ?」

また別のニヤニヤした軽い声がする。
「男C」・・・いや、とんでもないこと言ってるから、
あんたなんか「脇役A」だ。



グルグル回る頭で配役を決定したところで、再び男Aの声がした。

「それもいいな。取り合えず持って帰るか」

こうして私はなんだかよくわからないまま、人生初のお持ち帰りをされてしまったのだった。



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茶色い和風の天井に、丸い照明。
柔らかい布団の手触り。
新しい畳の香。

ここはどこだ?
私は確か居酒屋で潰れて・・・
そうだ、お持ち帰りされたんだ。

じゃあここは・・・?

起き上がるとそこは8畳くらいの和室。
といっても、私が今寝ている布団以外何も無い。
窓も締め切られていて、今が朝なんだか夜なんだかもわからない。

ふと、違和感を覚える。
この和室に似つかわしくない大きめの扉があった。
木製ではあるが、ノブが付いた普通の扉だ。

他に出入り口がないから、この木の扉が廊下にでも繋がっているのか・・・

一瞬悩んだが、この扉を開けないと今自分がどこにいるのかもわからない。
思い切って布団からでて(あ、頭痛い・・)、
ドアノブをまわす。


扉を開けたら、ヤクザさんがずら~っと並んでたりして。

なんて、一人くだらないことを考えていたが、
扉を開けた瞬間、そのくだらない考えが当たっていたことを思い知らされ、
私は思わず再び扉を閉じた。


なんだ?
なんなんだ??
ドアの向こうに居た奴は!?

私が呆然としていると、今度は扉が向こうから開いた。

「おー、眼が覚めたかぁ」
「・・・」

廊下にはさすがにヤクザがずら~っとは居なかったが、
このスーツに金のネックレスという、ヤクザの金型のような男が一人立っていたのだ。

身長が150センチない私から見ると、男の人は大体全員大きくみえるのだが、
こいつはそうでもなかった。
その身長と細い身体のせいで、肩まで伸びた長髪も悪そうな顔つきも、かえってユーモラスだ。
歳も私とそう変わらないだろう。いいとこ20歳くらいだ。

「なんだ?ビックリしすぎて声もでねえかぁ?」

この声、このしゃべり方!
急速に記憶が蘇る。

「あ!あんた!脇役A!!」


その後、私が首根っこをつかまれて、廊下を引きずって行かれたのは言うまでもない。




男A「やっと起きたか、三年寝太郎」

全力で徒競走ができるくらい広い畳の部屋で、
私は「男A」と「男B」の前に座らされた。

「あの~、私そんなに寝てました?」
男B「あんたが酒場で酔いつぶれたのはもう一昨日の話なんだけど」
「え・・・」

ちなみに今は朝だ。
ってことは何か?
私は昨日丸一日、こいつらに好きなようにされちゃってたのか?
いや、その割には服もちゃんと着たままだし。

考えてることが顔に出たのか、男Aが苦笑いしたまま言った。

「貞操の心配してんのか?さすがにあんなに大口開けて爆睡されたらいくら俺達でも、手ぇ出す気にはならないなあ」
「それはよかった。私処女なんで」
「・・・」

男達3人は顔を見合わせて噴出した。


それにしてもこの大きな建物は一体何なんだろう?

私が寝かされていたのは2階で、今いる大広間は1階だ。
2階の廊下は、分厚い絨毯が敷き詰められ、左右にいくつもの部屋があったが、
どれも例の木の扉で閉じられていた。
壁には高そうな装飾品がずらり。

1階に降りるとき、上にあがる階段が見えたから恐らく3階建て以上の建物なんだろう。

今いる1階は純和風の造り。
真ん中にこの大広間があるのだが、他がどうなってるのかは知らないし、
あまり積極的に知りたいと思わない。

そして、今目の前に居る3人の男達。
一人目は、先ほど私の部屋に入ってきた「脇役A」。
二人目は、(私からみれば)恐ろしく大きい「男B」。
そうそう、居酒屋でこいつに声を掛けられたんだった。
気が合って飲みまくってたらこの様だ。
男Bはあの日と同様、Tシャツにジーパンという軽装だ。
ちなみに茶髪のツンツン頭に左耳にピアス。
ゲーセンに行けば30秒に1人出くわすタイプだ。

三人目は・・・。
こいつがどうにもよくわからない。
脇役Aと同じくスーツ姿なのだが、スーツの種類が全然違う。
パリッとした感じの上品なスーツでネクタイもしている。
でも、お洒落スーツというのでもなく、どちらかと言えば普通の会社員。
手にはこれまた黒の通勤バック。
歳は25歳くらいか。

なんともミスマッチな3人だ。
並べてみると「若い日本人男性の種類図」ってな感じ。
あとここにオタク風な奴を加えれば、図の完成だ。
あなたも必ずこの4人のどこかに分類されるはず!

「やべっ!会社に遅れる!」
やっぱり会社員だったのか。
男Aは腕時計を確認しながら足早に部屋を出て行った。


「で。あんたはどうすんの?」

脇役Aも、バイトがあると言って出て行った後(その姿格好でなんのバイトですか、という突っ込みはさておき)、
男Bが私に聞いてきた。

「え~と。帰ってもいいの?」
「別にいいけど。どこに住んでんの?」


そのとき、あることを思い出した。

「あ・・・私、家出したんだった・・・」



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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