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第14話 再会

母さんが入院している町民病院は、コの字型に建物が建てられている。

その建物の中心は芝生が敷き詰められた中庭になっている。

病院自体大きくはないが、この町に住む住人にとっては大切な存在だ。

サナはここで生まれた。
俺もここで生まれた・・・と思っていた。

でもコータさんの話によるとそうではないらしい。


中庭へ出ると、母さんが木陰のベンチにぼんやりと座っていた。
顔色は良さそうだ。
でも・・・なんか少し痩せたかも。

「母さん」

俺が声を掛けると、ハッとして振り返った。

「蓮!もう、また来たの?大丈夫だって電話で・・・」

母さんの言葉は最後まで続かなかった。
その視線はピタリと俺の後ろの人物を捕らえる。
俺の後ろからも息を呑む気配がした。


「・・・コウちゃん?」
「ネェちゃん!!!」

コータさんが母さんの元へ駆け寄った、かと思ったらいきなり母さんをギュッと抱きしめ
キスをした。

さすがに俺も面食らったが、二人の視界にはそんな俺の様子は全く入らなかったようで、
感動の再会は続けられた。

しきりにコータさんの近況を知りたがる母さんに、
コータさんは照れながら説明した。

「俺、弁護士になったんだ。でも今でも廣野組にいるよ。部屋も2階にもらってる」
「そっかぁ、すごいね!じゃあ、コウちゃん、幹部なんだね。実家の弁護士事務所は継がなかったの?」
「うん、継いでない。弁護士としての籍は実家の事務所に置いてるけど、所長やってるのは、兄さんの嫁さん」

そうなんだ、と母さんは眼を潤ませながら満面の笑み。

「結婚は?」
「したよ。子供も二人いる・・・愛、なんだ、相手」
「え?愛?愛さん!?そうなんだ、おめでとう!」
「大学生ん時に子供ができてさ。騙されたよ」

そう言いながらもコータさんは幸せそうだ。


なんか、二人だけにしたほうがいいかな。
そう思って俺は病院の中へ戻り、ロビーへ向かった。

すると―――目の前に見覚えのある人影が現れた。


廣野統矢。


なんでここに!?

答えはすぐに分かった。
組長の左隣にサナの姿があったのだ。

「ユウは?」

俺は答えるかわりに、中庭へ出る扉へ眼を向けた。

「分かった」

そう言うと組長はゆっくりとその方向へ歩いていった。


「ごめんね、勝手なことして」

少し離れて組長の後をついて行きながらサナが言った。

「いいよ。サナ、1人でまたあそこに行ったのか?」
「うん」
「怖くなかったのかよ」
「怖くなかったよ。だって蓮のお父さんの家じゃない」

女ってつえーな。

「・・・ありがとう」
「え?」
「いや、俺は絶対あいつに母さんのこと話さなかっただろうから・・・これでよかったんだと思う」
「うん・・・」


顔を上げると、ちょうど組長が扉へ手を掛けるところだった。

母さんがいる場所へと通じる扉へ。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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