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第9話 赤の他人

あんた、俺の父親?

なんて言葉が馬鹿馬鹿しくて口から出ないほど、
俺とそいつはそっくりだった。

よくぞここまで母さんの遺伝子を無視したな、俺。

175センチくらいの中肉中背、40代。
この屋敷に相応しくなく、ジーパンに薄いピンクのポロシャツ。

そんな格好のせいか、益々俺とそっくりに見える。

格好だけじゃない。
切れ長の目も、筋の通った鼻も、唇の薄い口も・・・全て俺と同じだ。

違うのは、目じりに少しシワがあるのと、髪の毛に白い物が混じっていることくらいだろう。


「・・・お前、本当に蓮か?」

自分の声ってわかんないけど、きっとコレと同じ声してるんだろうな。
なかなか渋くていいじゃないか。


あまりの展開に頭がついていかず、どうでもいいことばかり考えしまう。


これが組長?
俺の父親?
ってことは、母さんはこいつの恋人だったわけか?
すげーな、母さん、さすがだ。


「岩城・・・蓮です」

素直にそう答えると、組長は「そうか、そうか」と半ば放心したように、
俺を部屋へと招きいれた。


これまた大奥ですか、ここは。
と思いたくなるような、畳が延々と続く広い部屋。

その部屋の一番奥に組長が座り、
その向かい3メートル位離れたところに俺も座るよう言われる。


「統矢さん、勝手に連れてきてすみませんでした」

部屋に入って最初に口を開いたのはコータさんだった。
俺の左後ろに正座している。

「いや、構わない」

トウヤさん、と呼ばれた組長は俺から目を離さずに答えた。


さて、俺はどうすべきか。
こいつが俺の父親であることは間違いなさそうだ。
いや、実は叔父さんでしたとか、そういうこともあり得るのだが、
俺の直感が「こいつは父親だ」と告げている。

「・・・ユウは元気か?」

ユウ?

俺の母さんは「岩城結子(いわきゆうこ)」と言う。
「ユウ」ってのは、母さんのことか?

「・・・はい、元気、です」

癌なんです、ってドラマチックにいきなり告げたらこいつはどんな反応をするだろう。
興味はあったが、なんだか言い出せる雰囲気ではなかったし、
そもそも、こいつは確かにDNA的には俺の父親かもしれないが、
気持ち的には赤の他人だ。

そんな奴には日本人らしく当たり障りのない会話をしておく方がいい。


俺は、何の感情もなく目の前の男の眼を見ていた。



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Category : [18years]本編 | Theme : 自作連載小説 | Genre : 小説・文学 |

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